【導入事例】多様性対応は外食の次のスタンダードへ——8年後の未来を考える、共創型レストラン「8go」に学ぶ

UMAMI UNITED JAPAN のお客様導入事例インタビューVol.5をお届けします。外食の視点から考えるONE TABLEの創り方。ぜひご一読ください。

8年先の食のスタンダードをつくる店「8go(エゴ)」という実験場

東京・八重洲。再開発の進む街の地下に、静かに、確かな熱量を宿すレストランがあります。「リジェネラティブ(再生可能)」をコンセプトに掲げる「 8go 」は、食を通じて社会課題に向き合う場所です。ランチではヴィーガン&グルテンフリーにも対応した、体にも環境にも優しいメニューを。ディナーでは、NEO TAPAS(ネオ・タパス)」という新ジャンルを掲げ、社会や環境の循環を意識した食材を中心に、革新的な小皿料理を提供。
ヴィーガン、アレルギー、グルテンフリーなど、多様な背景を持つ人が“同じ食卓を囲める”ことを重視したメニュー開発を行っています。
そして8goは、ただ料理を提供するレストランではありません。“未来の食の当たり前” をつくるための実験と挑戦の場。ここでは、食材の選び方から調理プロセス、そして様々な食にまつわる人々との共創により、持続の可能性と美味しさの両立を目的にデザインされています。

写真・木村文吾

今回お話を伺ったのは、キッチンを統括するIbuki(いぶき)シェフスイーツも担当する 二木 綾香(ふたき あやか)シェフ のお二人です。

今回お話をお伺いした方 

(左)二木シェフ / Ibukiシェフ

Ibukiシェフ:「8goの料理の哲学は、まず“美味しいこと”が大前提です。そのうえで、食べたあとにどんな循環が生まれるかまで含めて価値だと考えています。メニューの多くがヴィーガンにも対応しており、『ヴィーガンなのに美味しい』ではなく、『普通に美味しい』を目指しています。」

Ibukiシェフは、リジェネラティブを軸に据え、多様性のある食文化を探求する過程で、ヴィーガンメニューを深めていく面白さと可能性に気づいたといいます。
二木シェフ:「アレルギー対応やヴィーガン対応、環境・社会への配慮はもちろんIbukiシェフと同じ思いです。さらに私の場合は、女性目線でカロリーや栄養価、ヘルシーさも重視しています。“誰でも安心して楽しめるスイーツ” をつくることが、自分の役割だと思っています。」

たまごが持った多様な食のファンクション。レシピ開発における課題は?

弊社製品を導入する前、8goが抱えていた最大の課題は、ヴィーガンやプラントベースの料理において、食べ応えやコクを出すことの難しさ、そして卵に代わる素材が本当に少ないことでした。
二木シェフ「粉末の植物性卵という未知の素材に戸惑いながらも、好奇心で試作に着手しました。パウダー状の卵を今まで扱ったことがなかったので、最初は本当に試行錯誤でした。公式サイトのレシピを見ながら『このくらいの割合かな?』と試作を繰り返しました。カヌレやフィナンシェといった焼き菓子で試作を繰り返し、比較的早い段階で手応えを感じることができました。」

実際に提供しているヴィーガングルテンフリーのフィナンシェ。写真・木村文吾 

Ibukiシェフは「野菜の端材や出汁で工夫していたが、やはり限界があった」と振り返ります。

Ibukiシェフ「実は一番最初にトライしたのは、パスタでした。米粉を使ったグルテンフリーのパスタに、結着するためのつなぎとしてUMAMI EGGで試作をしたり、卵を使った料理の再構築など色々試してみました。また、実際に今も使っている豆乳マヨネーズ。ランチのヴィーガン・グルテンフリーハンバーガーに使われている手作りの豆乳マヨネーズは、これがないと成り立たないと言っても過言ではないです!」

卵を使わずにレシピを再現するのは非常に難しい挑戦だったかと思います。

二木シェフ「グルテンフリーでなおかつヴィーガンスペックだと、乳化性や結着性が課題でした。うまくまとまらなかったり、仕上がりの食感に影響したり。UMAMI EGGを使ったらそれらが全て解決しました。代替できる素材がなかっただけに非常に助かっています」
Ibukiシェフ「料理の面では、【ヴィーガンスパニッシュオムレツ】を提供しています。元々はヴィーガンスペックではないオムレツを作って提供していました。当初は『本当にUMAMI EGGで作れるのか?』と思っていました。UMAMI EGGでオムレツの試作を進めていく中で、卵のトロっとした絶妙なテクスチャーを再現するのが難しかったです」

写真・木村文吾 

数ある食材の中で、UMAMI EGGとの出会いは?

Ibukiシェフ「東京建物株式会社のプロジェクト担当者からのご紹介です。8goはもともと東京建物株式会社が開設した食のイノベーションの実証と社会実装を行う場「Tokyo Living Labを構成する施設の一つです。隣にはBasque Culinary Center (スペイン)・Gastronomy Open Ecosystem(Goe)のグローバルネットワーク拠点「Gastronomy Innovation Campus Tokyo(GIC Tokyo)が併設されており、リジェネラティブな取り組みを実現するワークショップ・イベント等が日々開催されています。このプロジェクトの担当者より「こんな会社やプロダクトがあるよ」と教えてもらいました。UMAMI UNITED JAPAN だけではなく環境問題やフードテックに真摯に向き合う生産者やスタートアップ企業から仕入れた食材を活用し、メニューを組み立てているのも私たちの特徴です。」

導入して初めてわかった、植物性素材の可能性と実力

現在8goでは様々なメニューに弊社製品が使われていますよね。

Ibukiシェフ「現在8goの多様なメニューで活用されています。豆乳マヨネーズ、タパスとして提供される【進化するオムレツ】があります。」
二木シェフ「スイーツではフィナンシェ、カヌレ、そしてディナーデザートの野菜のブリュレなど、幅広いラインナップで役割を果たしていますね」

写真・木村文吾 

実際の調理で感じるメリットは?

Ibukiシェフ「粉末で1年間の賞味期限という保存性の高さですね。またUMAMI EGGだけでなく味や香りに特化したUMAMI EGG FLAVOR​​も使い分けることで、風味だけが欲しい場面にも対応できる点もいいですね。」

お客様の反応は?

Ibukiシェフ「皆さん非常にポジティブです。『これがヴィーガンなの!?』という驚きの声や、「ヴィーガンなのに卵ってどういうこと??」といった興味を持つ反応が多く、UMAMI EGGを通じて、ヴィーガンやプラントベースといった食の選択肢を知る機会を得て、理解が深まる機会になっていると感じます。実際に【進化するオムレツ】はヴィーガンの方にもご好評いただき、一般の方でも何も気にせず注文して、後から『あれ?これってヴィーガンなの?!』といった反応を頂くことが多いです。」

弊社プロダクトへの改善希望や新たに望むものはありますか?

Ibukiシェフ・二木シェフ「やはり【卵白】代替の粉末ができることですね
二木シェフ「特に製菓では、卵白が持つ気泡性を使ったメニューが多くあるため、この機能があるプロダクトができるのを期待しています。また、焼き上がりの色合いを白く仕上げたい場面があるためこういった部分に活用できる素材が手に入ると嬉しいです」

多様な食の選択肢と美味しさを両立する、次世代の“食材インフラ“へ

今後、当社製品をどのように活用していきたいですか?

Ibukiシェフ「まだまだ試せていない卵料理がいっぱいあるので、どんどんチャレンジしていきたいです。特にカルボナーラですね。ぜひ美味しいヴィーガンのカルボナーラを作りたいです。そしてUMAMI UNITED製品を使いこなせる、UMAMI EGGマスターになりたいです(笑)個人的には、ヴィーガンのそぼろで2色丼や、難しいとは思いますがフレンチの前菜の定番ウフ・マヨ(半熟ゆで卵にマヨネーズソースをかけたもの)ができるようになったら面白いですね!」
二木シェフ「気泡性を維持しながら作るもの、たとえばシフォンケーキや生菓子の領域にも挑戦してみたいです。」

食の多様性対応の壁は高くない。8goが示す実践のヒント

ヴィーガン・プラントベース・グルテンフリー対応など課題を持つホテルやレストランに向けてメッセージやアドバイスをお願いします。

Ibukiシェフ「最初は未知の素材が故に、ハードルが高いと感じるかもしれませんが、使ってみると本当に良い製品です。まずは一度気軽な気持ちで使ってみて欲しい。私たちのレシピはオープンソースでシェアし公開できるので、何か共創できるといいですね」
二木シェフ「ヴィーガンやグルテンフリー、乳製品フリーを全部やるのは難しいと思います。でもまずは『1つだけ変えてみる』というところから始めてみるのが良いのではないでしょうか。」グルテンフリーだけでも確実に需要がありますし、少しずつ変えてみるのが大切だと思います。」

最後に、「UMAMI UNITED製品を一言で表すと?
Ibukiシェフ「可能性しかない」と即答。

Ibukiシェフ「本当にそう思っています。使う人が少ないですが、使う人が増えてくるとその価値もどんどん向上していくのではないでしょうか?もっともっと多くのレストランで、一部の卵料理にUMAMI UNITED製品が使われるようになる未来は来る気がしています。」
二木シェフ「製菓の領域で、UMAMI UNITED製品がもっと広がっていくといいなと思います。特に生菓子の領域ですね。私はパティシエではないのですが、こういった素材を活用することで、もっと美味しく体や環境に優しいものが世界に広がってくれたら嬉しいです。」

店舗概要

店舗名:Innovative Kitchen 8go(イノベーションキッチン エゴ)
所在地:〒103-0028 東京都中央区八重洲1-4-16 八重仲ダイニング B2F
営業時間:ランチ:11:00〜15:00(L.O.14:30)
イベント開催などにより休業する場合があります。定休日は店舗公式サイトやSNSなどをご確認ください。
ディナー:17:30〜22:30(L.O.21:30)
ウェブサイト:https://8go8go8go.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/8go_tokyo/

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